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2010.03.02

ほんものの食べもの日記 第7回「すももも桃も…」

花はきれいで実はおいしい、一粒で二度おいしい桃。ピンク色の桃の花は授粉をするとピンクが濃くなります。

2月27日、土曜日、山梨県の桃農家と話す機会がありました。

今山梨県ではハウス桃の花が真っ盛りだそうです。

いっとき急激にあったかくなりましたから、開花が進んだのでしょう。
この後、露地のすもも、桃と花が咲き、果樹農家は忙しくなります。

さて、果樹は畑作と違い、一本の樹から長い間収穫を続ける永年作物です。
栽培は一年こっきりで終わりではなく、前年、前々年の影響が今年の花や実に出たりします。

りんごや桃など農薬の使用が前提の果樹類を無農薬で栽培すると、
一年目はなんとかできるけど、翌年以降だんだん収穫量が落ちていくことが知られています。
前年農薬散布をしないことで、葉が落ちたり樹が弱ったりする、そんな影響が翌年に繰り越されるのです。

硬い殻をかぶっているカイガラムシ。大量につくと樹が枯れることも…。無農薬にすると最初の何年かに大量発生することがあり、それで枯れちゃう樹もあるようです。

一度無農薬にチャレンジしたという農家を何人か知っていますが、
「そのあと収穫量が激減して、元に戻るのに3年かかったよ…」等と聞きました。
無農薬での果樹栽培はかなり難しいということですね。
また何年か無収入を覚悟しないと、無農薬栽培には取り組めないということかもしれません。

昨今話題の青森県の木村さんが「すごい」と言われる所以です。

さて寒い冬の間、果樹農家はコタツでぼんやりしているわけではありません。

前年に伸びた枝を適正に切っていく「剪定」という作業を行います。

この剪定作業、翌年にどのように花や葉がつくか、どんな具合に実がなるか、
また、その次の年にどの枝を伸ばしていくか等々考えながら切っていく、非常に難しい作業です。

切りすぎると樹が暴れて余計な枝が出てくるし、
切らないと風通しや日当たりが悪くなり、病気や虫の原因になります。

低農薬栽培を行い、おいしい果実を作るためには、風通しをよくし、
それぞれの枝(葉)におひさまがたっぷり当たるような樹づくりが必要です。

剪定の技術は、果樹農家の腕の見せどころでもあるのですね。

写真上が剪定前。下が剪定後。枝がかなり切られ、すっきりしています。すかすかのようだけど、これに葉っぱがつくとそうでもないところが不思議です。

さてすっきりした枝の花芽がぷっくりとふくらむと、花はもう間近。

すももや桃は、自家受粉(自分の花粉で授粉できる)できる品種と
他家受粉(自分の花粉ではうまく授粉できない)する品種の2通りがあります。

実をならせるためには、実は人間が授粉をしてやらなくてはなりません。
花ひとつひとつに花粉をつけるこの作業が始まると、果樹シーズンスタートです。

この後、着果した小さな桃を適当な数に間引いていく摘果や、袋かけ・袋外し(桃の場合)、
さらに仕上げ摘果などを経て、ようやくひとつの桃ができあがります。

かわいいから思わずほおずりしたくなる桃。でも小さな毛が生えてるので、ほおずりすると毛が刺さって痛いって知ってました?

細かくて面倒な作業の積み重ねが、おいしい果実を作るのですね。

今年も豊作になりますように。

手島奈緒